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カワヨシノボリ

Rhinogobius flumineus (MIZUNO)

ハゼ科ハゼ亜科ヨシノボリ属
体長40〜70mm
中部地方以西


画像は日本淡水魚分布データベースよりお借りいたしております 



 ヨシノボリとは胸鰭条数、脊椎骨数、卵径の大きさが決定的な差異があり、1960年に水野信彦氏がカワヨシノボリの記載とハゼ類の回遊・陸封に関する考察を発表されました。本来の研究過程とは脇道での発見であったことは淡水魚第3号にて詳細に記されています。
 京都鴨川のゴリは従来より琵琶湖産より高価に取引されていましたが、このカワヨシノボリであったことは有名です。ハゼ類の同定は淡水魚中一番困難なグループであり、従来のヨシノボリ属も様々な型に分かれることは広く知られていました。卵径についても段階的に大きさの変異があるようです。ヨシノボリ属そのものはまた別項で記載しますが、一見して見分けるのは非常に困難です。頼みの綱である胸鰭条数は、カワヨシノボリが15〜17(〜18)軟条であり、ヨシノボリのそれは(18〜)19〜22軟条(中卵型以外)、16〜20軟条(中卵型)と一部分において重なる部分もあります。解剖して脊椎骨数を数えるのは趣味者のやることではありません。
 体色、斑紋もヨシノボリと同じく様々なパターンがあります。ヨシノボリ中卵型との差異も気になるものがあります。決定的に特定できる差は河川での卵径、卵数です。第1背鰭条数と脊椎骨数が中卵型ではヨシノボリに一致しますが、河川上流部に多いことなどカワヨシノボリにより近い種です。
 河川上流部に適応するのに卵径を大きくし、孵化した稚魚が直ちに底性生活に適応するという進化の過程は興味深いものです。カワヨシノボリも含めてヨシノボリを各型に分け住み分けの研究も詳細にされています。研究者にとっては格好の題材であることは間違いありません。昨今はヨシノボリを細かく分けていますが、いずれも大陸から侵入して未だ分化中の印象が強いものです。
 1936年に富山一郎氏が日本のハゼ科魚類をまとめられ、15種1亜種のハゼをヨシノボリ1種にまとめられましたが、日本、台湾、朝鮮半島、中国大陸、フィリッピンに産するものまで含められ、ヨシノボリは多型的な種であると規定されています。
 私などはそれで良いではないかと思っているのですが、学者は、細かく分けることに情熱を注ぐものです。植物の方でも、細かく分けることが流行のようになった時期がありました。その結果、東京都の島嶼に産するものと、琉球列島に産するものの中に、明らかな同種があったのですが、学名も別で分類学上は別種扱いになったまま訂正もせず現在に至っている種もあります。近年はDNA鑑定も進み、見ただけでは識別できない種も増えています。


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