ホーム >  淡水魚達 > イワナ

イワナ

Salvelinus pluvius (HILGENDORF) 1969中村
Salvelinus Leucomaenis (PALLAS) f.pluvius (HILGENDORF) 1976宮地・川那部・水野

サケ科サケ亜科イワナ属
体長150〜400mm
本州、四国の一部


石田川産の幼魚を半年育てたもの 
 



 ヤマメ・アマゴよりも高地の渓流に棲むところから、深山幽谷の主と呼ばれています。
 ヤマメ・アマゴ域より上部になりますと、関西近辺では細流が多く、何故こんなところにまでいるのか不思議な気がするようなところにまで住み着いています。当然、標高のある山岳地帯では剣呑のなころも多く、釣りには大変危険な一面もあり、イワナ釣りという響きには釣り師にとって特権的な意識もあるものです。
 釣りという面からみると、イワナはアマゴ・ヤマメよりはるかに釣り易いというのは実感です。もともと、餌の少ない場所ですから、何でも食べる悪食な面がある為だと思いますし、アマゴやヤマメほどの警戒心もないようです。

 サケ科魚類は変異し易い為に、各河川では特異的な特徴も多く見られ、イワナそのものが神秘的な一面を持っている為に色々分類されています。これは日本人のもつ排他的な特性も加味され、あのイワナは他と違うとか、とかく特別視してしまう傾向が見られます。(タキタロウなど)

 体紋からカメクラ型、ナガレモン型、ムシクイ型、ムハン型に分けられていますし、島根、鳥取のイワナをゴギ、奈良県ではキリクチといい別亜種として扱っている場合もあります。ゴギとキリクチは他のイワナとは距離的にも離れた分布をしていますが、琵琶湖周辺においても西と東側の流入河川別にイワナを詳細に徹底的に調査(淡水魚増刊イワナ特集成瀬智仁)された結果、東岸流入河川をヤマトイワナ(大島)、E型イワナ(稲村・中村)、また、キリクチ型(吉安)とされ、西岸流入河川ではニッコウイワナ(大島)、D・F型(稲村・中村)、ゴギ型(吉安)とされています。これは陸封された年代によることが指摘されており、琵琶湖に湖沼型のイワナが存在していないことなど、古琵琶湖時代のことも考慮しないといけないことです。

 日本海を中心とするニッコウイワナ属と太平洋側を由来とするヤマトイワナ属など興味がつきませんし、北海道にはオショロコマ、アメマスの陸封型であるエゾイワナも生息しています。
 イワナ属の主流は分布が最も広いアルプスイワナ(ホッキョクイワナ)、オショロコマですが、偏狭的存在である北米大陸にはレイクトラウトとブルックトラウト、日本本土と北海道を中心としてイワナ(アメマス)と大きく分けられています。日本という偏狭的な分布であるイワナをもってしてイワナ属全般を論じることは危険ですし、外国の研究者の中には、日本のイワナの特徴を無視してアルプスイワナやオショロコマに含めようとする人も多い(淡水魚増刊イワナ特集 木村)ようです。

 いささか混沌としているのが実情のようですが、斑紋について今西錦司博士は変種(バラエテー)と考えておられます。種そのものに対しては起原、進化とは何の関係もないということです。地元イワナを特別視したい気持もわかりますが、イワナの分類は大きく分けてSalvelinus malma(オショロコマ)の系統と Salvelius leucomaenis(イワナ)、Salvelius alpinus(アルプスイワナ)とに大きく分けられます。

 イワナの日本での最大記録は奥只見湖の湖沼型で83cmの記録があります。1973年6月にルアーで釣られ、釣り師にとってはまことにうらやましい記録です。大鳥池のタキタロウはどうやら、長年、大鳥池に生息し、2次性徴を示した雄の老イワナらしいのですが、伝聞では少なくとも1m以上のもので、2mものタキタロウを見たという人があるなど面白い話もたくさんあります。
 イワナは遡行能力が特別にあるようで、出水時などは水を伝ってウナギのように身をくねらせ遡上するところを観察されており、アマゴやヤマメでは決して不可能な小滝の連続するような上部にまで進出していきます。また、信じられないような話も紹介されており、その一つに小さな渓流の淵に住むイワナを狙って遡行していったところ、その淵は水が干上がり、乾いた川底のみで水は完全に消えていましたが、周囲の状況から昨日や今日の出来事では思われなかった場所でのことです。その大きなイワナはどこへ行ったのか、淵にいたとすると最後まで頑張ったはずで、イタチなどに食べられたのか土の中に潜ったのかと考えたそうです。土の中に潜ったと直感的に感じ掘ってみると、生きた尺物のイワナがいたという話です。この話しは東北大学浅虫研究所の苫米地三郎氏の体験です。また、鉄鋼短期大学化学教室の水野謹吾氏は生きたイワナの稚魚を土中より発見されておられます。


topへ戻る
Copyright(C) MG All Rights Reserved 
inserted by FC2 system