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イトウ

Hucho perryi (BREVOORT)

サケ科イトウ属
体長500〜1,500mm
北海道





 随分以前には青森県、岩手県にも生息した記録はありますが、現在は絶滅。
 最大2m(恐らく20才以上と推定)にも達するものが見られたそうですが、現在は1mのものも少ないといわれています。画像は某所で釣っものですが、主な分布は日本では極限的で、限りなく絶滅に近い種です。

 北半球にはイトウの仲間は不連続に分布しており、動物地理学上貴重な種でいずれも2mに達する巨大魚ですが、腹の中に見られるのはワカサギ、トゲウオ、ヤツメ類などが多く、時にネズミやヘビなど動きの比較的遅い種が多いようです。カエルやヘビなどを食べる魚に良くイトウは出されますが、動くものに反応する魚は多く、イワナやサクラマスなどもヘビには襲います。ただ、本当にヘビを食べているのかは疑問視されていますが、カエル類やネズミは実際に腹の中から出てきています。もっとも、カムルチーやブラックバスでも実際に食べていますし、セミやトンボなど昆虫類を食べる姿は私も実際に良く見かけます。魚類というものは貧食なものです。

 成長は遅く、生息環境の悪化もあり、日本では1mを超えるような大物はもうあきらめねばなりません。人工増殖の結果からは2mを越すようになるのは30才以上ともいわれています。50cmのイトウでも約10年以上は苦労して生きていることを思う時、釣ってしまうのもためらわずにはいられないでしょう。 イトウという名の由来は諸説ありますが、結局のところ分かっておりません。
 
 日本のイトウをはじめて学界に報告したのは Brevoort 1856 ですが、これのもとになったのは1854年に来航したペリー艦隊です。当初はSalmo perryiと命名されました。その後、大英博物館のギュンター Gunther 1866 が歯の配列から、ドナウ川のフーヘン(Hucho hucho)に似ていることから、Hucho属に分類することを提案して現在いたっているそうです。
 イトウ属は日本に現生するサケ科4属のなかでは形態的にもっともイワナ属に近く、サケ属とニジマス属とはかなり早い時期に分化していることから、イトウ属もやはりかなり早い時期に分化したものと思われ、ノルディン(Norden 1961)がサケ科の骨格を比較して、イトウをサケ科の中では原始的なところに位置づけし、系統的にはイワナに近いところに置いているようです。(淡水魚9号木村)

 世界には降海性のイトウや、全く海に降りないイトウもいたり、白いイトウ(アルビノではなく)がいたり生態も不明な点も多く、それだけ神秘的な雰囲気を持つ魚です。海に出る必要もないのに海水適応性が非常に強い面があり、その能力はサクラマス、アマゴ、ニジマス、アメマスなどを凌いでるようです。

 日本のイトウと他の国のイトウとは、外見は非常に良く似ていますが縦列鱗数が異なります。イトウなどはとっくに天然記念物にならなければおかしいはずですが、鮭の稚魚を食べる害魚だとされています。アメマスも害魚扱いです。
 イトウに関しては幻の魚と人気をあおる為もあって、ますます数が減って行きます。

 保護に関しては現状ではほとんどされていないようで、保護区を設けたらという考え方はあるようですが、例の巨大省の管轄や漁業がからむと全く話しにならないようです。

 特に北海道のような所には、人の利用のない河川などが多くあり、ここぞとばかり目立たない河川にはダム、砂防提を一生懸命作るのがあたりまえのようです。
 琵琶湖周辺でも目立ったところではいったんダム建設を取り下げ、新聞ダネにならないような、反対するものがいないような所ではこれでもかというぐらいダムが増えましたし、現在も増え続けています


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