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イトモロコ

Squalidus gracilis grcilis (TEMMINCK et SCHLEGEL)

コイ科カマツカ亜科イトモロコ属
体長50〜80mm
濃尾平野以西の本州
口ヒゲは瞳の直径より長い



 識別が難しい種です。(生体を識別できるのが基本です。)
 本種はイトモロコではないかと常に意識して注意しないと、他のモロコ類に混じって採集していますと中々気がつかないものです。
 口ヒゲの長さ、側線鱗が著しく側扁する、体部背面の網目状の暗色斑などが目立つ点が特徴です。

 一見、モツゴやスゴモロコ、デメモロコなどに似ていますが、識別は可能です。この種も琵琶湖産稚アユの放流に混じって各地で分布を広げています。淡水魚4号では、中村博士が神奈川県相模川で獲れたことを報告されておられます。本種のみならずモロコ類は関東地方で分布を広げていますが、琵琶湖産稚アユの放流によるものと推定されています。琵琶湖近辺での天然分布は、西端に近いせいか数が少なく、めったに見かけることはありませんでしたが、最近はどうなのでしょう。
 オイカワ域(Bb域)下部からコイ域(Bc域)にかけて、言い換えれば中流域下部から下流域にかけて分布しています。
朝鮮半島のイトモロコ属 Squalidus は、ホソモロコ、コウライモロコなどが生息していますが、分類上はまだ明確に発表されていないようです。

 外見通りどことなくひ弱であり決して丈夫とはいえませんが、地味な魅力にあふれています。他のモロコ類もそうですが、自然界では比較的生息数が多い為にその生息については油断することが多いものです。琵琶湖でもホンモロコの漁獲量はあっという間に減少してしまい、あわてて増殖対策をとられるような事態になっています。
 この種に限らずそうならないようにする為には、水質のことは別にして、護岸整備の方法なども根本的に考え直さないといけない時代になっています。水需要量の為の工事というお題目が通らなくなりつつある現在、河川改修の為に、今度は200年に一度の大洪水に備えるという錦の御旗をお題目にした改修が行われています。
 結局は工事の為の工事という構図はいつの時代になってもなくなりません。もうそろそろ、河川、湖沼に棲む生物達にとっても最上の工事方法、工法が出てきても良い時代になっていると思うのですが。
 ほとんどの種の生態についても明らかにされてきていますので、それは可能だと思います。200年に一度の洪水にも耐えられ、豊かな生物層を育む方法は必ずあると思います。ダムや河口堰を作るぐらいの巨大プロジェクトなら八方まるく収まります。

 また、放流事業をなんらかの規制方向にもっていく方策をとらないといけない時代ではないでしょうか。特定外来魚に対する方策がやっと端緒につきましたが、全て対応が遅いものです。
 フナやコイの放流も禁止すべきで、こういう酸欠に強い、生存競争に強い魚は他の魚種を淘汰してしまいます。釣り人代表というお題目で放流が計画されることが多いものですが、ほとんどが業者の仕掛けです。ブラックバスにしてもそうでしょう。業者の蜜放流によって分布を広げ、ルアー関連商材が一時期、バブル状態になりました。分布が広がった経過、年数を考えるとそう推定せざるを得ないのです。こうなるとバス釣り愛好者も自分の秘密の場所を作る為に蜜放流していき、日本中いたるところバスだらけです。


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