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ギンブナ


Carassinus auratus langsdorfi TEMMINCK et SCHLEGEL 1969中村
Carassinus gibelio langsdorfi (VALENCIENNES) 1976宮地・川那部・水野

コイ科コイ亜科フナ属
体長100〜300mm





 フナといっても種類があることは大抵の方がご存知です。キンブナ、ギンブナ、ナガブナ、ニゴロブナ、ゲンゴロウブナが代表でしょう。そこにテツギョ、キンギョ、オオキンブナが加わり兵庫県には透明鱗の行其ブナがいます。透明鱗のフナについては長野県でも発見されています。分類学上では諸説があります。

 地理的変異が大きく、種としての定義も様々、一般のコイ科魚類の染色体数が48〜50ですが、フナは倍程あります。関東地方のギンブナは3倍体の150〜156。まれに206の4倍体もいます。関東以外では倍が基本です。2倍体のギンブナとゲンゴロウブナ(2倍体)との間の子供はいわゆる半ベラが生まれます。
 雄の数が極めて少なく、琵琶湖のギンブナ、別名ヒワラも同じです。中国大陸、アジア、ヨーロッパと硬水地域にも広く分布しており、シベリアのギンブナは同じく3倍体とか。赤いフナはヒブナと呼ばれていますが、キンギョの祖先とは考えられていません。染色体数が異なるのです。
 中国のフナとキンギョとは一致する点が多いのですが、キンギョとしてはっきりとした記録があるのは、中国の陳髞試mによると1276年頃であり、先祖がフナであるらしいというのは色々な方の研究であきらかにされています。

 魚取沼のテツギョはフナとリュウキンとの雑種であろうという推論もありますが、決定的なものはありません。キンギョ(リュウキン)などは古くから放流もされていますのでテツギョのような魚は各地で見つかっています。ギンブナ自身は雄が極端に少なく、他魚種の精子を借りて繁殖しているらしいのですが、いっさい雑種は生まれず固定化しています。このことからフナの変異の多くはキンブナが元になっているとの見方があります。
 私達素人は単純にキンブナとギンブナを見かけで判断しますが、水槽で飼育している内に見分けが付かなくなる場合も多いものです。背鰭条数が12〜14本がキンブナ、15〜18本がギンブナと簡易的に分けてみる方法が大体正解のようです。しかし、この方法も厳密に調べると正確ではありません。背鰭条数が各地方でもかなり異なった結果もあり、相対的にはキンブナの背鰭はが短く、体長は20センチ以下、金色に近い体色と特徴はあります。
 生息地域的にはキンブナは関東地方以北が主ですが、ニゴロブナ、ゲンゴロウブナ、ナガブナなどはキンブナが変異したものと考えられていますし、四国地方でオオキンブナというキンブナ系のフナを詳細に研究された論文(淡水魚8号谷口)があり、大変興味深いものでした。また、キンブナはどちらかといえば単独行動派、ギンブナは群れを作ります。
 
 水槽内で、濾過器などの故障によって水質悪化、酸素欠乏のような状態になってもギンブナは特に強く平気です。一般の真っ黒けのドブのような河川でも生息していますが、体表のヌル・・粘液を特に多く出して保護しているようですし、酸素欠乏に強い特質はデータがありませんのでわかりませんが、コイもそうです。他の魚が死んでもコイ、フナ、ナマズ類は生きています。先のカムルチーやタウナギは別格ですが。といっても産卵に適すような環境がなければ本種とて減っていきます。池にアミを入れますとギンブナは岸近くのドロに潜ってじっとしています。ドロがなければ水草や石の陰にさっと逃げ込みます。水槽内でも馴れますがやはり臆病な種類です。私の釣りの原点でもあります。


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