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アユモドキ

Leptobotia curta (TEMMNCK et SCHLEGEL)

ドジョウ科アユモドキ属
体長100〜150mm
琵琶湖淀川水系と岡山県下の数河川
口ひげは6本
絶滅寸前種
天然記念物

 八幡市木津川産  


 20センチくらいの成魚になると黒い横帯はほとんどなくなってきます。近い種は東南アジアにいますが、日本では本種のみで1977年7月にネコギギと共に天然記念物に指定されました。天然記念物に指定というのは、人類にとって恥ずべきことです。

 潜水して観察していますと、上流に向かって大きな石の陰を次から次に渡り、かなり遊泳力があります。石をどけますと素早く次の石の陰に隠れます。神経質さと臆病さも伺いしれます。体色は橙色地に黒の横帯が入り、熱帯魚と間違えた程です。
 何故、これほど激減してしまったのか、環境破壊、水質汚染と、まだ他にも原因があるような気がしてなりません。人工増殖もされていますが、病気にもかかりやすく形態的にも少し差が出たり、いずれにしても大変困難なようです。
 農業用用水路の石垣のある地帯では水位の変動があり、生息には極めて微妙なバランスがありますし、淀川ワンドではほぼ絶滅状態のようです。

 木津川で現認したのは90年頃迄ですが、当時でも相当水質は悪化していました。透明度が悪くなり、30センチぐらいにまで顔を近づけないと判別できないような状況でした。潜りましたら髪の毛がネトネトになるのに閉口して、私にとって木津川での魚類探索は終焉です。しかし、こういう水質状況でもかなり生息を確認できたのです。あれだけ広大な琵琶湖でも、水質の悪い西の湖でしか見つかっていないというのは不思議です。

 周辺の桂川、宇治川は当時と変わりませんし、アユモドキがいた木津川の状況よりは良いとは思います。必ず生息、繁殖しているものと信じたいものです。本種の産卵は、雨が降り川が増水すると細流に入り卵を産むというのが分かっていますが、濁水と細流に入ることが大事であることです。そういうリズムがないと卵が熟さない為に、人工増殖ではゴナドトロピンという性腺刺激ホルモン剤が必要です。
 当時と変わった要因はブラックバスとブルーギルの著しい増加です。ブルーギルは止水向きですが、バスは流心にも出てきますし、宇治川、木津川、桂川では相当数生息するようになっています。
 アユモドキの生態は良く分かっていないというのが実情でしょうが、決して流れのゆるやかな所ばかりではなく、木津川本流の流れの強いところでも生息していましたし、上桂川でも本流で確認されています。京都市内の桂川に注ぐ用水路でも発見されています。これは本流でも生息している可能性を示唆しています。



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